雑事~ざつごと~

てきとうにたらたら文章書いてる奴の垂れ流しやら雑記やら。

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浦島太郎

 何をしていたんだと問われれば何もしていなかったと言う他無いことです。
 少なくとも、執筆的なことに関してはなにもしてきませんでした。その間になにやら書き方などが変わった気もします。大分筆力が落ちたとかそういうことも含め。
 ところで最近、深夜にテニスの試合がやっています。たまたま目に付いたのですが、そのサーブの速いこと速いこと。ただその分成功率はあまり高くないなあと思います。セカンドサーブはほぼ確実に決めていますが。
 別にテニスに興味が湧いたわけではありませんが、たまにはスポーツ観戦もしてみようかな、という気分にさせられました。
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  1. 2007/06/30(土) 00:33:41|
  2. 雑記
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SEEN-5 「運命の夜に」

 衛宮家の居間には、士郎、凛、桜とそのサーヴァントたちが居た。テーブルには六つの湯呑みが置かれているが、すでに湯気はない。各々がテーブル越しに視線と言葉をかわし合い、意見を積み重ねてゆく。結果、士郎たちは同盟を解散し、個別に戦うこととなった。士郎は凛に共闘を進言したが、残るサーヴァントの数からそれは難しいと袖を振られた。
「いい、衛宮くん。今日が終わったら、私たちは敵よ」
「納得はできないけど、遠坂がそのつもりだってのは心にしておく」
「桜も」
「……はい」
 士郎と同様に上手く噛み砕けぬ顔で凛の言葉を飲みながら、桜は唇を結んだ。結ばなければ、噛み砕けなかった言葉が腹から出るかもしれなかった。
 アーチャーが凛をうながすと、凛は別れの挨拶をして夜に紛れていった。士郎は残った二人に泊まって行くかと聞いたが、桜は横に首を振り、名残惜しげに凛と同じく、幾許も歩かぬうちに見えなくなった。マーブル・ファンタズムには数十億ものプレイヤーが居るが、この場所では二人きりだった。飲み尽くして溶け残ったグラスと氷のようなものだろう。酒は一滴も残っていなかった。
 凛たちを見送ってから士郎とアルトリアは家に入り、やけに静かだと思えてしまう居間で会話もせずにいた。小粋なジョークも潤滑油も二人は持っていなかった。舌を動かすのに必要なものは空っぽだった。ポケットを探っても出てはこなかっただろう。そのまま寝てしまえれば簡単な話だったが、あたった夜風は暖冬といえど涼しすぎた。

 その場所に名前はない。より正確に言えば、元々は名前があったが今は失われている。荒野とも言えないし断崖絶壁の孤島でもない。一番近い例をあげるとするならば、地図にさえ載っていない小島だろうか。しかしそこは小島ではないし、海や岸さえありはしない。簡単に言えば、地面すらない。上下左右前後斜めあらゆる区別が無く、宇宙空間にしても岩や暗闇、真空すらないというのは寂しすぎるだろうが、そこはそういう場所だった。
 その場所に浮かぶのは数十ほどの人の形をした残骸だ。糸くずのように端々から解れ、サイレンとともにERRORという文字が浮かび始め、そして片っ端から解れて消える。
 その場所はそういうところだった。なにも無いのではなく、なんでも無くなるのだ。
 やがて糸くずのように解れた数十の残骸は消え去り、その場所がゆっくりと地面を、空を、あらゆるものを糸くずに変えていく。そして糸くずは数秒とせずにただ消え去り、あとはなにもないものだけが少しずつ広がり始めていた。

 ガントレットに包まれた指が弾けた。金色が左右に跳ねた途端、彼の頭上から一山幾らの幻想が降り注ぐ。あまりにも無差別な破壊だった。一つ一つが最高に値する幻想を、数十、数百と惜しみもなくばら撒いている。
 狙い撃つなどという話ではない。目標がある一帯全てを潰せばどれかは中るだろうというものだ。それはとても効率のいい作戦だった。放つ者の幻想が極めて無尽蔵に近いという条件の上で成り立つものだったが。
 赤い槍を手に持った男は、その幻想を飛び退きながら凌ぎ、中りそうになる幾許かを槍を回転させて弾き飛ばす。背に男性物のスーツを着たショート・カットの女性を庇いながら、舌打ちしつつ金色の鎧を身に付けた男を睨む。
「手前ぇ、何者だ」
「はっ、今から死ぬ者に名乗る必要があるか?」
 またも金色の男の背には無数の幻想が現れた。槍、剣、斧、矢、鎌、石礫、およそ思いつく限り全ての武具が整列し、その顎を開けて食らいつくのに必要な合図を待っている。
「王命だ。疾く死ね」
 指が鳴った。順序もなく絶対的な威力の奔流が槍を持った男へ向かう。抗うなどという次元の話ではない。激流に逆らって泳ぐことが不可能であるように、その無数の幻想に立ち向かうことは無理なことだった。――それが目の前の男以外だったならば。
 目の前に起こったのはどのような奇跡か。あらゆる幻想は彼に、その背に庇う女性に一切の致命傷を与えず、無傷とは言えないが未だ戦闘不能になることは無く、破壊し尽くされたその場所に立っている。
「ちっ……」
「生憎、飛び道具じゃ俺は殺せねえよ」
 背後の女性がルーンの刻まれた皮のグローブを嵌め、背負った筒からソフト・ボール程もある鉄球を一つ取り出した。
「貴様ら如きにこれを使うとはな」
 金色の男が撓んだ空間から突き出た柄を握り引き抜いた。三つの円柱を繋いだような刃のない剣を構える。
「――狂喜しろ。この力を存分に味わい尽くせ」
 円柱が互い違いに廻り出し、赤い風が噴き上がる。
 槍の男はその石突を深く引き、、穂先を地面に擦りつけるかと思うほど低く構えた。同時にショート・カットの女性が言葉を吐く。
斬り抉る戦神の剣(アンサラー)
 鉄球とグローブから雷光が爆ぜる。
 途端、金色の男の顔がやや青くなった。
「アンサラーだと……?」
 その鉄球こそ伝承の一つ。その女性こそ保菌者。能力自体は簡単なものだ。後出しして攻撃される前に攻撃する。たったそれだけにして、絶対無比の方法だった。こと一対一ならばどんな相手とて倒しうる最強の迎撃兵装である。
「ええ。これがアンサラー。知っているのならば、その結果は知れましょう」
「てめえのクラスも知りはしねえが――その心臓、貰い受ける」
 男が持つ赤い槍がゲイ・ボルクである。呪われた魔槍は因果の逆転を以って、中った結果があってから放たれる必中の攻撃だった。
 金色の男が持つ宝具が如何に強力なものとて、その二つの運命の逆転は覆せるものではない。先に攻撃すればアンサラーの一撃がその身を抉り、後に攻撃すればゲイ・ボルクの一撃がその心臓を串刺しにする。
 八方塞りではあるが、それを選ばなければ両方に穿たれるだけ。金色の男は口端を引き攣ったように吊り上げ、柄を握る手の力を強くした。
「なかなか面白い出し物だ。が、そのような小細工で我を倒せるとでも思うたか」
 魔力の暴風が吹き荒れ、その被害を受けた辺りの物が宙を舞う。より激しく廻り出した円柱が繰り出す一撃こそ世界を斬り裂いたものであると、誰が知ろう。名も無き剣より放たれる暴風こそ、最強に相応しい威力の攻撃だ。星の作り出した願望の凝縮であろうと、その一撃の前では三流の幻想と変わりない。
「……はっ、面白いじゃねえか」
 それはどちらが勝つかという話ではなかった。ゲイ・ボルクの、アンサラーの一撃は金色の彼を倒すだろう。しかしそのあと待ち受ける暴風を耐える手段を彼らは持ち合わせていない。放たれた瞬間、どちらもが死に絶えることは判っている。死ぬか殺すかを選ぶというものだ。
 焦れた感情が神経を焼く。三人は睨み合いながらその鼓動を高め、相手の手を読みつつ呼吸の一つさえ慎重にした。
 何秒経っただろうか。尖りきった神経にはあまりにも長すぎる時間が、焦げ付いた感情の導火線を尽くし、一斉にその場が爆発させる。
刺し穿つ(ゲイ)――」
「――天地乖離す(エヌマ)
後より出でて(フラガ)――」
 最後の一動作を残し、どぷん。と黒い波が彼らを飲み込んだ。

 病院のベッドの上で彼女は静かに寝ていた。周囲には頭髪を後ろに撫でつけた厳格そうな医師が一人、まだ歳若い看護士が一人、背広に身を包んだ老若男女が数人、ベッドの上の彼女を見下ろしていた。数人は眉間にしわを寄せ、目には哀しみとそれ以外の複雑な感情を綯い交ぜにし、謙虚に祈る教徒のように手を合わせていた。
 デジタル音が一定の間隔で鳴っているが、それは非常に遅いものだった。音と音同士が遠すぎて、溺れていた時に手を伸ばしてようやく手にしたのは藁だったという喜劇にでも悲劇にでもなりうる話の、悲劇に見えていた。
 やがてその音が鼓動を止めた。まるで劇場のブザーのように、冷ややかな音が鳴っている。
 医師が腕時計の日時を言葉にし、最後に「ご臨終です」と付け足した。近くに居た看護士がベッドに寝ていた女性の顔に白い布をかける。
 泣き声が一室を満たし、その言葉は様々ながらも女性の死を哀しんでいるのがありありと判った。それだけベッド上の女性は皆に慕われていた。
 アルクェイド・ブリュンスタッドと名をつけられた彼女の生涯は、数奇な幸せと哀しみに彩られ、あまりに多くのものと共に閉じられた。

 断線。断線。断線。断線。断線。断線。断線。断線。
 断線断線断線断線断線断線断線断線断線断線断線断線断線断線断線断断線断線断線断線断線断線断線断線断線断線断線。
 断断断断断断断断断断断断断断断断断断。
 線線線線線線線線線線線線線線線線線線。
 数にしておよそ百八十二万ものマーブル・ファンタズムへの接続が途切れた。それは意図的ではなく、故意的ではなく、理不尽なものによって一方的に閉じられた。現状で六割ほどの接続を断ち切られた者は、何もなくなる空間に飲み込まれた。残り四割の接続を断ち切られた者は、黒い波に飲み込まれた。
 彼、ないし彼女らはなにかの不具合かと思って再度接続を試みたが、既に接続は不可能となっていた。
 彼らはまだ幸運と言えた。その前日まで現実に酷似した幻想の世界をなんの疑いもなく楽しんでいられたのだから。しかし彼の世界の虜になったの人々や、その世界よりログ・アウトもままならぬ捕らわれたごく少数の人々、そしてこれよりその幻想で死に至る者たちは不幸だった。情報が出回り、言いようのない理不尽な終焉が待ち受けることを知ってしまったから。
 今、マーブル・ファンタズムという擬似世界は南極という果てから滅び始め、同時に黒い波が各地でヒトだけを飲み込み始めていた。
  1. 2007/06/30(土) 00:24:24|
  2. marble phantasm
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