雑事~ざつごと~

てきとうにたらたら文章書いてる奴の垂れ流しやら雑記やら。

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ハート・ダイ・ハード

   つぎっぱなのつぎっぱな.「ダイアモンド・カラー」

 舞踏会は王城のホールで行われていた。敷かれた赤い絨毯はくるぶしをくすぐるほど深く、高いヒールでなければその場の女性たちは足元から上ってくるくすぐったさを抑えることはできなかっただろう。絨毯の外に置かれた丸いテーブルにかかったクロスでさえ上等で、裕福でない人々では一張羅ですらそれに劣るだろう。石積みの王城はやや冷たいが、舞踏会に参加した人々と暖炉の熱がそれを誤魔化していた。
 舞踏会場には美しい女性がたくさんいた。少女と呼べる若い女性から結婚をするにはやや適齢を過ぎているが、艶やかな美貌を持つ女性までさまざまな女性が集まっていた。中にはその女性の親族である中年の男性、女性から初老を過ぎた者までいた。上品にテーブルを囲み、シャンパンを飲んでもげっぷ(ヽヽヽ)をしない人ばかりだった。
 女性の多くは椅子に座ったこの国の王子に同じような挨拶をし、同じようにあしらわれ、同じように上品に食事をした。王子は退屈さにあくびをかみ殺しながら頬杖をつくわけにもいかないと我慢していた。きっとチェスの本でもあったのなら、夢中になって読みふけったに違いない。
 舞踏会の扉を慌しく開いたのは一人の少女だった。絢爛豪華な衣装に身を包んだ人々よりもシンプルで、その中にいては浮かぶか沈んでしまいそうなドレスを身に纏った彼女はガラスのパンプスを履いていた。それだけが唯一人と比べて目立つようなものだった。彼女はずいぶんと緊張した様子で一番近いテーブルまでぎこちなく歩き、質素ながら上等の服を着た若い給仕からシャンパングラスを一つ受け取った。折れそうなほど細い足を慎重に支え、器を手で温めてしまいそうなほど高い部分を持って傾ける。炭酸に驚いたように目を開いて彼女は咳きこみ、周りの人々から失笑を買う。そして顔から火を噴いて残りを無理矢理に飲みこみ、小さなげっぷを一つした。
 王子は無作法な彼女に妙味を持ち、頭の中にあったチェスの本を放り出した。
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  1. 2006/01/03(火) 21:26:10|
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