雑事~ざつごと~

てきとうにたらたら文章書いてる奴の垂れ流しやら雑記やら。

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あまりにも更新できねーのでできてる部分を四分割して晒す

   SEEN-4 「EXCALIBUR」



   ACT-1 「贋製偽装」

 ゆっくりとした谷のような道の両脇には住宅が途切れ途切れにあり、木々が合間を縫うようにして生えている。ほとんどの家は人々がコートを羽織って襟を立てるように高い塀で世間と壁を隔てていた。緑は冬だというのにその葉を鮮やかに彩り、寒々とした風の中身を寄せて育っている。ゆっくりとした坂の向こうには墓地があり、あまり立派とはいえない墓石が規則正しく並んでいた。
 谷底の溜まりには六つの人影がある。二人は石像のように前方を睨んで立ち止まり、一人は嘲るように坂上から見下ろし、三人は激しく踊って火花を散らしている。バーサーカーが斧剣を重量を感じさせないほど自在に振り回し、二人に叩きつける。アルトリアはインヴィジブル・エアを大きく振りかぶっては打ちつけ巨大な斧剣から身を守っている。アーチャーはどこからともなく手にする鉄矢で巨大な男を射るが、しかし高速で迫る鉄矢は彼の肌に突き刺さろうともしない。
「ちっ。やはりこの程度では牽制にもならんか」
 アーチャーは舌打ちして黒弓に効きもしない鉄矢をつがえる。彼は二メートルはある堀に一跳びで上がり、鉄矢を三本、鋼色の肌を持つ巨人と金髪の矮小な少女を見下ろす、イリヤの足元目掛けて放った。しかしそれはバーサーカーが腕を差し出しただけで中空に止まり、アスファルトに落ちて音を鳴らす。弓兵はもう一度舌打ちした。
 士郎が歯をすりつぶしてこぶしを握る。すりつぶされる歯は不揃いな形がぶつかり、不快な音を立てて脳髄に撒き散らした。それこそ彼が望むもので、さらに足りないと戒めるように彼は掌に爪を突きたてる。傷はない。ただ圧迫されて掌が白くなる程度。必要以上に加熱された溶岩のような怒りが少年の視界を赤く染める。彼は耐え切れないと空を見上げ、珍しい紅月を見ていた。
 その横に立つ同じ凛はコートのポケットに手を突っ込み、その中にある大きな宝石を握り締める。尖ったカッティングが彼女の掌を突き白く染め、途切れた血液が彼女の腕を細く循環する。
「■■■■■■■■――――――!」
 百獣の群すら逃げ出すような声で巨人は咆哮した。夜を劈く咆哮は大気を震わし、幾数の潜んだ動物をその場から逃げ去らせる。それは人の本能さえ刺激し、ただ一つの思いをもたらす。きわめて原始的な、強いものにはかなわないという単純な感情――恐怖。それは人の意識を鈍らせ、判断を誤まらせ、時として致命的な失敗すら決断させる。そして恐怖を発した巨兵はその咆哮さえ遥かに凌いで、彼が振るった斧剣が空を切りアスファルトに激突する。地面はその圧力に震え、自身を壊し、破片が宙を舞っては鈍い音で落ちる。巨大なうしろ盾さえない塀は、掠っただけで蜘蛛の糸のように全体にひびが入り瓦解する。その威力は圧倒的で、まともに当たればおよそ破壊できないものは存在しないだろう。
「……はっ!」
 辺りに火花が散らばる。その量は異常で、花火ならばすでに二発ほど上げ終わっているに違いない。多ければ一秒に三度も弾ける火花は夜を明るくしている。ただしそれは命がけの灯り火で、アルトリアは一撃ごとに神経や筋繊維を潰しながら一撃を堪えている。巨人はただ普通に岩塊を振るうだけで、少女は命を燃やしていく。そして数えるものなどいない無数の剣戟の中、均衡は破られる。巨人はバットのスウィングのように両手で横に斧剣を振るい、少女は躱すことができずその一撃を受け止め、ゴムボールのようにその場から吹き飛ぶ。残像さえ残すような速度で彼女は重力にも曲げられず真っ直ぐに宙を滑ってゆるやかな坂に激突し、鎧とアスファルトで火花を散らしながらなお滑っていく。坂向こうの外人墓地近くまで吹き飛んだ少女は起き上がろうとせず、寝転んだまま。
 士郎は今度こそ掌を突き破った。すりつぶした歯を剥き出しにして、ひび割れた感情でアスファルトを蹴る。
「アルトリア!」
 それを遮るのは、彼が叫んだ少女を吹き飛ばした狂戦士だった。鋼色の肌はまるで高くそびえる壁のように破ることができないことをイメージさせる。事実、アルトリアの一撃もアーチャーの一矢も彼の皮膚すら削ることはできなかった。
「あら、残念。せっかく来たのにもうフィナーレなんて……」
 心底という様子で銀髪の少女は囀る。巨人はただ黙って自身の腰ほどまでしかない士郎を睨み、手に下げた斧剣を士郎に突きつける。
「バーサーカー。一気に殺しちゃダメ、ゆっくりね。蟻をつまむように、ケーキをカットするように、優しくよ」
 胸元を少しずつ抉られる痛みに歯を噛みながら、それでも士郎は目をつむって甘受する。――自身が変ずることを。
 幻想の撃鉄が士郎を打つ。
投影、開始(トレース   オン )
 彼が手に作るのは五尺もの長さを持った長刀、物干し竿だった。
「あら、抵抗するの? するよね。……ふふ、そうじゃないとつまらないもの」
 イリヤは食い込んだ斧剣を引かせ、士郎とバーサーカーの距離を二メートルほど開けさせた。斧剣が士郎を叩き潰し、長刀の切っ先がバーサーカーに食い込む射程。まるでカウボーイの決闘のように、二人は互いを睨みつける。
 士郎は柄を握り、自身の描いた空想に至るにはまだ足りないことを理解して爪先を靴の中で突き立てた。まだ経験が浅い。まだ学習が足りない。まだ気づかない。限界点が近すぎる。士郎はもっと早く自身の特性に気づかなかったことに腹を立てて、脳裏の撃鉄に手をかける。
「だって言うなら、それを超えてやる。――投影、装填(トリガー ・ オフ )
 命を捨てる覚悟があるのなら、魔術師はいつだって簡単に限界を超える。等価交換が世の原則であるというのなら、士郎はそれに見合うだけの代価を支払って、奇跡の欠片を手中にした。それが何であるのかは彼も知らない。しかし、今ある中の大切なものが最初に失われていく。それだけを支払って、士郎は言葉を続ける。
工程完了。全投影同時展開( ロールアウト     バ レ ッ ト ク リ ア )――」
 士郎はその一点だけを睨み、バーサーカーが動くその微かな前運動に集中してたわんだバネを開放した。
「――――非、燕返し( ブレイドワークス )
 巨兵の持つ斧剣。それだけに士郎は自身を全投入する。虚空の中空から鋭く長刀――物干し竿が現れて振り下ろされ、ほぼ同時に現れたもう一本の長刀が囲むように斧剣の動きを狭める。そして、士郎の持った一振りがあらゆる動きを否定するように振り払われた。
 ほぼ同時の三方向攻撃。アサシンが見せた秘剣とは比べるべくもない未完成過ぎるツギハギだらけの幻想は、しかしその斧剣を幾つもの残骸にした。
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  1. 2006/03/16(木) 01:08:29|
  2. marble phantasm
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